キューネ・アンド・ナーゲル/トランプ関税は日本海運に影響大
2025/05/19 更新
キューネ・アンド・ナーゲルは5月15日、都内で「海上部門 カスタマーイベント」を開催、港湾物流を取り巻く問題や業務課題についてセッションを行った。
<登壇したキューネ・アンド・ナーゲル 米国海上貨物部門 戦略開発 Bill Rooney ヴァイスプレジデント>
イベントは、米港湾物流と港湾インフラの課題や展望といった、海運に関連したテーマについて、日米さまざまな観点から専門家が登壇して解説するというもの。
米国物流の見通しとトランプ政権に関連した港湾・インフラ課題などについて講義した、キューネ・アンド・ナーゲル 米国海上貨物部門 戦略開発 Bill Rooney ヴァイスプレジデントは、「政治的・地政学的リスクが高まる中で、米国における海運業界は不確実性が高まっている。毎日のように想定外のことが起こるので、それに備えていくことが重要だ」などと述べた。
<ONE (Ocean network express) 戸田潤 社長>
日本の海運市況について、ONE(Ocean network express)ジャパン 戸田潤 社長が登壇。同氏は「今日言ったことが明日は正しくない可能性もある世界。かつて荷主の要望トレンドは速さ優先だったが、今は時間通り、予定通りを求められるのが一般的になっている」と、業界の変化について述べた。
米国の対中国への関税に関連して「既存の製造ルートを中国から国内に回帰するのは、サプライチェーンが確立した今そう簡単な話ではない」と述べ、トランプ関税が日本の海運物流に影響を及ぼしていることにも言及した。
<キューネ・アンド・ナーゲル日本法人 航空貨物部門 山田賢造 ヴァイスプレジデント>
キューネ・アンド・ナーゲル日本法人 航空貨物部門 山田賢造 ヴァイスプレジデントは、「コロナ禍のときに言われていた『普通に戻ったら』は5年経過した今でも実現していない。市場にもこの影響は出ていて、変動が激しく不確実性が高い業界になっている」と語った。
また、中国の関税リスクについて、「中国は米国以外の国と貿易協定を結んでいくだろう。それに伴い、日本に米国からの貨物キャパシティが要求されることが想定される。今後は対応に忙しくなるが、コロナ禍でも対応できた経験から、今回もきちんと舵を切っていけると思う」と締めくくった。